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公開講座について
第3回 ~輝け 新潟のスグレモノ~

公開講座について

講座内容

原 研哉さん
Yoshiaki Tsutsui
白井剛暁さん

デザインの可能性
~輝け 新潟のスグレモノ~

記念講演/原 研哉さん(グラフィックデザイナー・日本グラフィックデザイナー協会副会長)
トークセッション/原 研哉さん、白井剛暁さん(新潟市。アートディレクター、グラフィックデザイナー)、コーディネーター・笹川克年(新潟日報社報道部)
  • 日時…2013年9月3日(火)18:30〜20:30
  • 会場…メディアシップ2階「日報ホール」
       (新潟市中央区万代3-1-1)
  • 参加費…無料
  • 募集定員…150名

にいがたが世界に誇るさまざまな素材をデザインの力でさらに磨く。ものづくりやコミュニケーションを通して社会を改めて認識し発見する「デザイン」が持つ可能性について考えます。

トークセッションには新潟市のデザイン事務所「DESIGN DESIGN」代表の白井剛暁さん(37)が出演。地域特産品のブランド「ローカルデザインプロダクツ」を立ち上げ、「新潟のスグレモノ」をさらに輝かせようと奮闘する若手デザイナーとデザイン界の第一人者、原さんが新潟のデザインのみらいについて語ります。

採録

記念講演
「デザインの可能性」 ~デザイナー 原研哉さん~

 西洋の「シンプル」と、日本の「エンプティ(空っぽ)」との違いについて、まずお話します。日本のデザインは簡素、簡潔が特徴だと思うのですが、そこには独自性があって、西洋のシンプルとは少し違います。
 西洋のシンプルは約150年前に生まれたものです。実は世界は「複雑」から始まりました。強大な国の力や権威を表現する役割として、中国の龍の紋様もイスラムの幾何学模様も機能していたのです。それが近代社会の始まりによって、力を表現する必要がなくなり、過度な装飾を作る必然性もなくなった。人間と形と素材、機能、それを最短距離で結ぼうと模索するうちに、合理性であるシンプルという発想が生まれたわけです。

 しかし、そこから遡ること300年くらいの日本では、すでに極めて簡素・簡潔なモノが使われています。実はそれ以前の日本は世界中から入る文物の影響を受け、結構、豪華絢爛でした。しかし、室町時代後期に「応仁の乱」が起こったことで、変わっていくのです。
 約10年に渡る応仁の乱によって、京都の伽藍や仏像、巻物、屋敷など全て焼き尽くされました。当時の将軍、足利義政は東山のほうに蟄居するのですが、その当時作られた義政の書斎が日本の和室の原型といわれています。障子、襖、畳。簡素だけどきれいです。全て焼けたことで、何もないというところから世界と対峙しようという覚悟を感じます。
 茶の湯もこの頃から始まりました。何もない茶室にわずかなしつらえ、例えば花器に桜の花びらを散らすことで、満開の桜の下に座っているというイメージを作り出す。エンプティな空間のほうが、どんなイメージも持ち込めるということなのです。
 1980年にできた無印良品は、ロゴや包装紙を簡略化するところから始まりました。しかし、ただ簡略化するだけではなく、「何もないほうが豊かである」というコンセプトを持ち込んだ。これは日本のエンプティという美意識です。無印のテーブルを18歳の若者が使えば、その生活の中で機能するし、60代の熟年夫婦の生活にも馴染む。どんな人にも対応できる自在性、エンプティを持っているのです。

 日本も戦後60年間いろいろな工業製品を作ってきましたが、そろそろ単にモノを作るのではなく、そこに「価値」を乗せないといけない時代になってきました。例えば、新潟の米も農家、流通、デザイナーが三位一体で価値を作るという発想にしていけば、そこに将来の可能性が出てくる。デザインというのは、まさにそういう価値を作り出すことに貢献できる場所だと思っています。

トークセッション「輝け☆新潟のスグレモノ」

出演/原研哉さん、白井剛暁さん
コーディネーター/新潟日報社 報道部デスク 笹川克年

◇ デザインとはどういうものだと思いますか?
白井 アートというのはアーティストの作りたいものを作り、見る人の受け取り方も自由だと思いますが、僕らがやっているデザインというのは、商業的な効果を出したり、機能させるということが目的なので、ひと言でいうなら「良くすること」だと思います。
 「だったりして」を実現することでしょうか。デザイナーの役割はきれいな形を作ることも大事ですが、それだけではなくて可能性、潜在性を可視化していくことが必要。人々が欲しいけれど、まだ見たことがないものを「こうだったりして」と作って見せることが、デザインの力として大事だと思います。
◇ 新潟の企業とデザインの今について、白井さんはどう捉えていますか?
白井 新潟は米、酒、米菓をはじめ燕三条の金属加工など、モノも技術も優れたものが多い。金属加工製品もグッドデザイン賞を受賞する点数が増えています。しかし企業は賞を取っても、それを売るためにどうするかという部分が、あまり見えていないのでは。それでもデザインに力を入れている新潟の企業は増えてきているので、僕らの出番もこれからだという気がしています。


◇ どのように新潟はデザインの力を取り込んでいけばいいのでしょう。
白井 例えば、同じコシヒカリでも作り方や味はそれぞれ違うので、米を取り巻くデザインもそれぞれ違っていいし、おざなりにしてはいけないと思います。それから新潟は米と酒というイメージが強いですが、新潟といえば○○というものが新しくできればいい。最近の新潟はアートイベントも多いし、美術館もそこそこ数はあるし、グッドデザイン賞などを取っている工業製品もあるので、新潟といえばアート、デザインといわれるようにしていきたいですね。
 米と酒があるというのは、横綱と大関がいるようなもの。最高の武器にすればいいと思います。新潟の米の価値が最大限上がっていけば、そこに米と交換できる価値を持った人がどんどん来ますよ。
◇ デザインの力で可能性を引き出せますか?
 まがまがしいデザインをしても、うまくはいきません。デザインというのは余計なものを掃除するようなもの。本当においしい米は、余計なものがいらないですよね。それと同じで、余分なものをなくして、すっとさせると気持ちがいい。それが大事なことだと思います。

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