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[ニュース]太陽光パネル、リサイクル時代へ 新潟大で研究中

 新潟大学工学部の増田淳教授は、リサイクル性に優れた長寿命の太陽電池ソーラーパネル(モジュール)の開発研究に取り組んでいる。2030年代後半に想定されるパネルの「大量廃棄時代」を前に、リサイクルできるパネルを通じ、解決の糸口にするのが狙いだ。

 同研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された助成事業の一環で、北陸先端科学技術大学院大、青山学院大、岐阜大と太陽光パネルの製造・販売をする京セラと共同で行っている。

 従来のパネルは、表面の強化ガラスと裏面のポリマー素材であるバックシートの間に、保護材の役割をする封止材に挟まれた、四角形の小さな太陽電池(セル)が並ぶ構造。セルは、封止材と強固に接着されているためリサイクル性に乏しかった。また、紫外線や水分の浸入などにより封止材から生じる酢酸が、セルの劣化を招いていた。

 増田教授らは、2021年ごろから、劣化を防ぐため封止材を使用しないパネルを研究。瓦を積み重ねるように接続するシングリング接続でセルをつなげ、透明なポリカーボネートで覆うパネルを開発した。

封止材がないことで、劣化を防ぐことに加え、パネル内のセルの交換も容易にできる。さらに、重く曲がらない強化ガラスから、ポリカーボネートにカバーを変更したことで、曲面での設置が可能になった。デザイン性に優れた円形の建物や壁面でも取り付けができ、パネルの設置場所の自由度は広がった。

 また、研究中のパネルには、従来製品と同等以上の性能などを求めた。製品寿命を検証する加速試験を通じ、従来製品と同等以上の20~30年の製品寿命が得られる結果を得ている。発電効率については、製品の改善を重ね、同じくらいの性能だ。設置費用については、封止材を使わないなど材料費の削減で、従来製品より安くなると考えられるという。増田教授は「研究中のパネルで大量廃棄問題を解決していかないといけない。2030年までの実用化を目指したい」と話している。