- 紙面シリーズ
花角知事と県内中学生が
座談会
プロローグ・座談会
地球温暖化や脱炭素をテーマに、花角英世知事と環境活動に取り組む県内の中学生4人が話し合う座談会が、新潟市中央区で開かれました。花角知事が地球温暖化による県内の農作物への影響や県の取り組みについて説明し、中学生は自分たちに何ができるのかを考えました。座談会の様子は7月22日付新潟日報朝刊にも掲載されています。
参加したのは花角知事のほか、荒川中学校(村上市)3年の志村颯琉(そうる)さん、渡邉真央さん、新潟明訓中学校(新潟市江南区)3年の井上結斗(ゆいと)さん、加藤向日里(ひまり)さんの4人です。
荒川中は、地元住民と連携して地元食材を使った商品開発などに取り組んだほか、3年間を通じて脱炭素につながるSDGsについて学習。新潟明訓中は、古紙を回収して作ったトイレットペーパーをマリンピア日本海に寄贈するなどしています。
座談会では、中学生が「地球温暖化について、新潟県はどのような取り組みをしていますか」などと質問しました。花角知事は「中学生も日々の行動を工夫することでできることがたくさんあります」と話し、節電や食品ロスの削減など、県が「ゼロチャレ30」として紹介する取り組みの実践を提案。「家庭や学校で脱炭素に向けた取り組みを広げてほしい」と呼びかけました。
以下は座談会の内容です。
- 志村さん
- 花角知事、最近、地球温暖化やカーボンゼロについてのニュースを見たり聞いたりしています。地球温暖化や新潟県で起こっていることについて教えてください。
地球温暖化って心配だなあ……
- 花角知事
- 地球温暖化とは、私たちが生活の中で必要なモノを作ったり、消費したりする中で、大気中に二酸化炭素などの「温室効果ガス」が排出され、地球全体の平均気温が上昇していることを言います。このままでは、猛暑日や大雨が増えたりして、より深刻な自然災害が増えると予測されているんですよ。昨年は村上市など下越地方を中心とした記録的な大雨がありました。新潟県でも熱中症など健康への被害や、気温の上昇による農作物への影響がみられています。県としても非常に心配な問題だと考えています。
- 渡邉さん
- なるほど。最近は新潟でも夏じゃないのにいきなり暑くなったり、極端な大雨が降ったりしています。私たちの将来を考えると心配です。どうしたらいいのでしょうか。
- 花角知事
- あんまり心配しすぎないで。新潟県では3年前の2020年に、2050年に温室効果ガスの排出量の実質ゼロを目指すことを表明し、脱炭素社会の実現に取り組んでいます。「カーボンゼロ」とは、会社や家から出る二酸化炭素などの温室効果ガスをなるべく減らした上で、森林などにより二酸化炭素を吸収してもらい、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることをいいます。
- 加藤さん
- 具体的にはどんな取り組みをしているのですか。
- 花角知事
- 温室効果ガスの排出を減らすには、生活の中で少し行動を変えるだけでできることが色々あります。例えば、日本全体の温室効果ガスの排出量の約6割が、衣食住を中心とする私たちの日常生活から出ているというデータがあります。つまり、節電や物を大事に長く使う、残さず食べるなどのちょっとした心掛けで、温室効果ガスを減らすことができるんです。新潟県では一人一人が生活の中でできる30の取り組みを「にいがたゼロチャレ30」として紹介し、実践を呼び掛けています。
「ゼロチャレ30」やってみよう!
- 志村さん
- 30の取り組みがあるんですね。
- 花角知事
- 「ゼロチャレ30」は、新潟県のホームページ「脱炭素ポータルサイト」に載っていますので参考にしてみてください。宅配を時間指定して受け取るとか、地産地消を心掛けるとかも大事ですね。学校や、家族が働いている会社でも取り組みを広げて、みんなで「ゼロチャレ仲間」を増やしていきましょう。
- 渡邉さん
- ぜひ友達や家族にも「ゼロチャレ30」を教えてあげたいと思います。
家族や友達にも知ってほしいな
- 花角知事
- すばらしい。今度は私の方から聞いて欲しいことがあります。皆さんは新潟県では昔から石油や天然ガスが採れていることは知っていますか。日本全体ではほとんどを海外からの輸入に頼っていますが、新潟県は国内での生産量は第1位なんです。
- 井上さん
- 新潟県が全国1位なんてすごいですね。
- 花角知事
- 石油や天然ガスが採れるため、新潟県にはエネルギー関連企業が集まっています。さらに、天然ガスを東京など首都圏に送るパイプラインなどの設備も整備されています。新潟港や直江津港は、船で運ばれてくる液化天然ガスの日本海側の拠点港です。また、自然豊かで水力発電も多く行われています。海の上での風力発電ができる可能性も持っています。脱炭素社会をつくる上で、このような施設や環境を活かすことで、新しい産業が生まれ、環境に優しいエネルギーの拠点になれる可能性を、新潟県は持っているのです。
新潟の可能性って実はすごい!
- 加藤さん
- 新潟県が環境に優しいエネルギーの活用拠点になって、地域が発展してくれたら私たちもうれしいです。
- 花角知事
- そうですね。地球温暖化は心配ですが、ピンチをチャンスとしてとらえて、新潟の魅力をもっと高めることで、皆さんのような若い世代も今まで以上に、ふるさとに愛着を持ってくれるのではないでしょうか。
- 志村さん
- ぜひ私たちもできることがあれば積極的に協力していきたいです。
「オール新潟」で取り組もう!
- 花角知事
- 大変心強いです。脱炭素社会の実現には、県民みんなで取り組みを進めていくことが大切です。ぜひ皆さんの視点で脱炭素について考え、行動につなげてください。みんなで魅力あふれる新潟を作っていきましょう!
- 中学生4人
- 分かりました。花角知事、今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!