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脱炭素、新潟でいま、
港がアツい?

第4話

港湾は貨物輸出入の99.6%を取り扱い、二酸化炭素(CO2)排出量の約6割を占める発電所や鉄鋼、化学工業などが集まる臨海部産業の拠点です。国や県は港湾を起点に脱炭素化社会の実現に貢献する「カーボンニュートラルポート(CNP)」の形成を目指しています。未来のチカラにいがた脱炭素プロジェクト10月特集は県内の「港」に焦点を当て、CNPに向けた取り組みや、港周辺で建設が進むバイオマス発電所、火力発電所でのCO2排出量を減らす取り組みなどを取り上げます。

新潟の港を次世代エネルギーの拠点に!

CNPとは その①

港に、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーを大量に安定して運んだり、貯めたりする環境を整えます

CNPとは その②

貨物を運ぶ機械や車両を燃料電池で動かしたり、太陽光発電や水素ステーションを整備したりして、港湾エリアの活動や物流を脱炭素化します

カーボンニュートラルポート(CNP)のイメージ
(国土交通省港湾局の資料などを基に作成)

未来のチカラにいがた脱炭素プロジェクトのキャラクター「ダツボン」がCNPについて、県港湾振興課の関花恵さんに話を聞きました。

新潟ならではの特徴は?

関さん

新潟港や直江津港は液化天然ガス(LNG)の大きな受入基地があり、県内外にガスを送るパイプラインなどの設備もあります。またエネルギーに関連する企業もたくさん集まっており、新潟県は国内有数のエネルギー拠点になっています。脱炭素につながるインフラや技術がたくさんある地域だと考えています。

ダツボン

新潟は国内有数のエネルギー拠点なんだ!

本県ではどんな動きがあるの?

関さん

本県では新潟港、直江津港、両津港・小木港で、港湾の産業・物流関係者が集まって協議会を作り、CNP形成に向けた計画づくりを進めています。どうやって港湾エリアの活動を脱炭素化していくのか、また、次世代エネルギーの供給網づくりに向けてどんな役割を果たせるかを検討しているところです。

ダツボン

新潟でも検討が始まっているんだね

CNPの形成で新潟はどうなるの?

関さん

脱炭素化には、燃やす時にCO2を出さない次世代エネルギーの活用が欠かせません。CNPの形成が進み、新潟が次世代エネルギーの拠点になることで、新しい産業ができたり、仕事などで国内外からより多くの人が集まってきたりするかもしれません。新潟がもっと発展したらうれしいですよね。

ダツボン

新潟が発展するチャンスなんだ!

新潟(の港)には大きな可能性があるのですね。

関さん

日本はエネルギーのほとんどを海外から輸入しています。太平洋側にある港が大災害で被害を受けた時には、日本海側にある新潟の港が支援して、代わりの役割を果たせるようにしておくこともとても大切なことだと思います。

ダツボン

非常時のバックアップだね!

火力発電所は燃料の天然ガスや石炭、石油を海外から船で運んでくるため、港湾エリアに集中しています。港湾エリアにある火力発電所で、脱炭素につながる動きが進んでいます。

県内で建設中のバイオマス発電所と、従来の火力発電所でCO2を減らす取り組みを紹介します。

バイオマス発電で電力を供給

聖籠町の県営新潟東港工業地帯の一角に、シンガポール系資本のエクイス・デベロップメントと東北電力が、バイオマス発電所を建設しています。

バイオマス発電所は、木質ペレットなどの木質系燃料を使います。燃やすとCO2を排出しますが、植物が成長する中で光合成によりCO2を吸収するので、排出と吸収が差し引きゼロになるという考えに基づいています。

エクイスセントラルサービス・ジャパンの建設事務所責任者、古賀祥之助さんは「燃料を海外から輸入するのに東港はとても便利で、バイオマス発電所の場所には最適だと思っています」と話します。2024年秋にも稼働が始まる予定で、約12万世帯分の電力を作ることができるそうです。

建設が進むバイオマス発電所

減らせCO2 水素の混焼試験

「火力の脱炭素化」を進めている東北電力は、新潟市東区にある新潟火力発電所で燃料の液化天然ガス(LNG)に、水素を混ぜて燃焼させ、発電する混焼試験を今月から始めました。

大手電力の国内火力発電所としては、国内初の取り組みです。混焼試験では燃料のLNGに水素を1%程度混合することで、CO2排出量を0.3%程度削減できるそうです。

今後は水素の割合を増やしたり、水素と同じく燃焼時にCO2を出さないアンモニアを使ったりすることも検討しています。

同社新潟火力発電所長の清野幸典さんは「電力会社として脱炭素社会の実現に積極的に挑戦していきたい」と話しています。

水素の混焼試験が始まった新潟火力発電所

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