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あちこちで、
脱炭素で町おこし!

第5話

脱炭素社会の実現に向け、全国各地で再生可能エネルギーを導入する取り組みなどが始まっています。脱炭素化は環境に優しいだけでなく、地域経済の活性化や生活の質の向上、防災減災などさまざまな波及効果が期待されています。未来のチカラにいがた脱炭素プロジェクト11月特集は、県内で太陽光や風力、地熱などを活用し、持続可能な地域づくりを目指す動きを紹介します。

柏崎市

再エネで地元産業を支援

「脱炭素のまち」を掲げる柏崎市では、再生可能エネルギーの地産地消などを目的に、市と民間企業が出資して2022年3月に地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー」を設立しました。

太陽光発電施設を同市鯨波と西長鳥にある市遊休地を有効活用して市が整備し、発電所の運営を柏崎あい・あーるエナジーが担っています。発電所で作られた電力は、市内の小中学校をはじめとした37カ所の公共施設で使われています。

今後は、柏崎あい・あーるエナジーの自前発電設備や大型蓄電池の導入を進め、地元企業への電力供給を開始する計画です。

ものづくりが盛んな地域でもある柏崎。再生可能エネルギーを安価で安定的に提供する環境を整えることで、地元企業の競争力を高め、産業界を支えていく構想も描いています。

同市電源エネルギー戦略室の前川岳士さんは「柏崎あい・あーるエナジーと連携しながら、環境と経済の両立を図り、持続可能なまちづくりにつなげていきたい」と話しています。

柏崎市鯨波の太陽光発電施設

村上市/胎内市

産業振興や郷土愛の育成に

洋上風力発電は近未来の再生可能エネルギーの主役の一つと位置づけられています。日本は四方を海に囲まれた島国で、洋上風力発電に適した条件を備えています。

本県でも村上市と胎内市沖の海域が適地として、国から促進区域に選ばれています。

地元では洋上風力発電事業に伴う地域経済への波及効果や、事業関係者の往来や定着、視察と絡めた観光振興などにも期待が寄せられています。

胎内市総合政策課の石山智之さんは「胎内市では次世代を担う子供たちへの環境教育も行い、地域への愛着や誇りを育てるための取り組みを進めています」と話しています。

十日町市

地域外とのつなぎ役に

十日町市の松之山温泉街から1キロほど離れた山の中に、高温の源泉の蒸気でタービンを回し、電力を作り出すバイナリー発電所「コミュニティ発電 ザ・松之山温泉」があります。

現在県内で唯一の地熱発電施設。一帯にはもくもくと湯けむりが立ち上がり、大地の恵みを実感させてくれます。

発電所は地元旅館などでつくる合同会社と、再生可能エネルギー事業を手がける東京の企業が合同で運営しています。年間発電量は一般家庭280世帯分に当たります。

電力利用者から、松之山で作られた電力が選ばれ、多くが東京都内で使われています。電力の供給により十日町と東京の新たな交流が生まれています。

温泉の恵みを活用した十日町市のバイナリー発電所

佐渡市/関川村

国は脱炭素社会の実現を掲げる2050年を待たず、2030年度までの脱炭素化に取り組む「先行地域」を全国各地で選定し、実現を後押ししています。本県の市町村では佐渡市(新潟県と共同で提案)と関川村が選ばれています。

佐渡市は本土の発電施設とつながっておらず、電源供給のほとんどを島内の火力発電に頼っています。今後は島内各地域にある公共施設などに太陽光発電設備や大規模な蓄電設備を設置し、ネットワークでつないで効率良く使っていく構想を描いています。

今月開庁した市役所新庁舎は、そのシンボル的な存在です。太陽光発電と省エネ設備などを組み合わせ、将来的に建物のエネルギー収支が実質ゼロになるよう計画されています。

トキと共に暮らす環境の島で、脱炭素化による持続可能な地域づくりが進んでいます。

また、山間部の豪雪地帯にある関川村では、地域で使う電力を自前で作り、消費するエネルギーの「地産地消」を柱にした地域づくりに取り組んでいます。

学校や公共施設に太陽光発電パネルを設置するほか、小型の風力発電、地熱発電や森林資源を活用した木質バイオマス発電なども導入する計画です。さまざまな再生可能エネルギーを上手に使うため、地域電力会社を立ち上げました。

関川村脱炭素推進室の田村美樹さんは「村の豊富なエネルギー資源を活用して脱炭素化に取り組み、新しい雇用を生み出すなどして人口減少や経済の低迷などの地域課題の解決につなげていきたい」と意気込んでいます。

脱炭素化の中核施設としてオープンした佐渡市の新庁舎

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