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第7話
CO2、集める?貯める?
そして、使える?

第7話

地球温暖化対策では、まずは一人一人がCO2の削減に取り組むことが大切です。一方で、CO2を集めて地下に貯(た)める技術「CCS」の導入に向け、国は本県を適地の一つとして取り組みを支援しています。

回収したCO2を貯留・活用する技術「CCUS」の実用化も検討されています。未来のチカラにいがた脱炭素プロジェクト1月特集はCO2を「貯める」や「活用する」についての取り組みを紹介します。

CCSって何のこと?

二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CarbondioxideCaptureand Storage)の略語で、発電所や化学工場などから排出されたCO2を、ほかの気体から分離して回収し、地下に貯める技術

CCUSって何のこと?

二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CarbondioxideCapture,Utilizationand Storage)の略語で、発電所や化学工場などから排出されたCO2をほかの気体から分離して回収し、再生可能エネルギーや化学製品をつくるために有効利用する、または地下に貯める技術

CO2を地下に貯める

三菱ガス化学など5社が連携

国は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じてCCSの事業化に向け、本年度事業として国内貯留5ヵ所、国外貯留2カ所の事業計画を重点的に支援し、2030年度までの事業開始を目指しています。 本県では「東新潟地域CCS事業」計画が選ばれており、これは県がまとめた新潟CCUSハブ&クラスター拠点開発構想をベースに、三菱ガス化学、石油資源開発(JAPEX)、東北電力、北越コーポレーション、野村総合研究所の5社が参加しています。

この計画は、東新潟油ガス田や化学工場、火力発電所などがある東新潟エリアで、発電所や工場から出るCO2を回収してパイプラインで運び、それらを地下の東新潟油ガス田に貯めて脱炭素化を進めるという構想です。現在は事業の可能性を探る調査が行われています。

新潟ならではのCCS目指す

参加会社のひとつである三菱ガス化学の新潟工場(新潟市北区)は、東新潟油ガス田の天然ガスを活用し、溶剤、医薬原料、プラスチックなど幅広い化学製品を作っており、化学会社ならではのCO2の利活用の検討も行っています。東新潟地域CCS事業について、執行役員新潟工場長の橋本晃男さんは「CCSを進める上で、さまざまな業種の企業や必要な環境がそろっている点が、新潟ならではの特徴です。この新潟の特徴を生かして本計画を進めることで、カーボンニュートラルの先進地域としての存在感を示していきたい」と力強く語っています。CCSの事業化検討を進め、脱炭素社会の構築に貢献していくことが期待されています。

東新潟地域CCS 事業計画参加企業の役割

CO2分離回収の検討
三菱ガス化学、東北電力、北越コーポレーション
CO2輸送(パイプライン)の検討、圧入・貯留の検討
JAPEX、三菱ガス化学
検討支援・アドバイザリー業務
野村総合研究所

CO2を上手に使う

次世代エネルギーをつくる

長岡市と小千谷市にまたがる南長岡ガス田で生産されている天然ガスをはじめ、国内外でエネルギー開発を手がけているINPEX。同社も、国がCCS技術の事業化を重点的に支援する事業計画として、「首都圏CCS」と「日本海側東北地方CCS」に参加しています。

CO2を活用するCCUS技術の取り組みも果敢に進めており、南長岡ガス田にある越路原プラントでは、CO2と水素から都市ガスの主成分である合成メタンをつくる「メタネーション」の技術開発を進めています。

同プラント内で回収したCO2を活用し、合成メタンの生産を2025年度中に開始する計画です。

新潟の活性化にも期待

同社水素・CCUS事業開発本部、技術開発ユニットの副ジェネラルマネージャーの古座野洋志さんは「石油や天然ガス事業で培ってきたノウハウを活用し、CO2を回収、地下に圧入・貯留するなどして脱炭素化に貢献していきたい」と力を込めます。

また、南長岡ガス田で採取した天然ガスをパイプラインで柏崎市の施設まで送り、次世代エネルギーの水素をつくって、発電の燃料にしたり、アンモニアをつくるために活用したりする計画も進んでいます。水素をつくる際に発生するCO2は回収して、ほぼ枯渇した東柏崎ガス田に注入することで、未採取の天然ガスの生産を試みるとともに、地下に貯留してCO2排出量を抑えて水素をクリーンなものにする構想です。

古座野さんは「一連の取り組みを通じて新しい産業が生まれるなどし、新潟の魅力が高まることにつながったらと考えています」と話します。

森づくりで脱炭素

にいがた緑の百年物語緑化推進委員会

公益社団法人「にいがた緑の百年物語緑化推進委員会」は、20年以上県民や企業に広く募金を呼び掛け、植樹による森づくりや緑化活動を進めています。

木は葉っぱで、吸収したCO2と光のエネルギーを使って光合成をし、成長します。その時に酸素(O2)を排出して、炭素(C)を幹や枝などに蓄えてくれています。

森づくりは土砂崩れや水害などを防ぐことにもつながります。同委員会の活動は、参加者が環境問題について学ぶ貴重な機会にもなっています。

同委員会常務理事の内山茂さんは「豊かな森を未来へと引き継いでいくことは脱炭素社会の実現につながる。さらに活動の輪を広げていきたいです」と話しています。

小学生も参加し毎年行っている植樹活動

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