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脱炭素社会の実現へ新たな技術を生み出す新潟県内の研究者たちが、自身の研究や脱炭素への思いなどを自由につづります。

新潟大や長岡技術科学大など理工系6大学・短大・高専と、本県と関わりのある企業のリレーコラムです。(第1、3木曜日夕に配信)

リレーコラムVOL.1

新潟大学研究統括機構付置カーボンニュートラル融合技術研究センター長
増田 淳ますだ あつし

1966年、奈良県出身。金沢大学大学院自然科学研究科修了。博士(工学)。2020年4月、新潟大学自然科学系教授。24年4月から現職。

カーボンニュートラル達成の研究拠点へ

新潟大学研究統括機構付置カーボンニュートラル融合技術研究センターは2022年4月に発足しました。2024年4月より二代目のセンター長を拝命しました増田 淳でございます。

世界的な異常気象や化石燃料の高騰が続く昨今、再生可能エネルギーの積極的な導入と省エネルギー技術の普及が世界的に求められています。このような背景のもと、本センターでは、太陽熱利用、太陽光発電、水電解の3つを中核技術として、カーボンニュートラル達成に貢献可能な研究開発に邁進しています(図参照)。

世界的な研究開発のスピードはあらゆる分野で加速していますが、エネルギー分野においては、特に新技術の開発が急がれていると感じます。1973年に発生したオイルショックを契機として、1974年に日本で初めての長期的な視点に立った新エネルギーの技術開発計画であるサンシャイン計画が策定されましたが、今年はサンシャイン計画策定から50年の節目にあたります。かつては、化石燃料の将来的な枯渇に備えて再生可能エネルギーが注目されていました。サンシャイン計画策定の経緯からもわかるように、資源に乏しい日本にとって、化石燃料の不安定供給のリスク回避の観点からも、再生可能エネルギーの技術開発に取り組んできたわけです。一方、昨今は地球温暖化にともなう異常気象の問題が深刻さを増しており、化石燃料の使用量を削減することが全世界的に求められるようになりました。再生可能エネルギーに関する技術開発の目的として、化石燃料の枯渇対策のみならず、カーボンニュートラル達成というもう一つの大きな柱ができたわけです。

カーボンニュートラルの達成には、現在のセンターの中心的な課題である創エネルギーと蓄エネルギーの他に省エネルギーも必須です。エネルギーの問題は多くの技術分野が関連しており、一つの専門性だけ有していても、解決には繋がりません。本センターは、名称に「融合技術」を掲げています。上記の太陽熱利用、太陽光発電、水電解の3つを中核技術とすることは当面変わりませんが、学内外のこれ以外のエネルギー関連技術の専門家にも参画頂きたいと考えています。特に、エネルギー技術は相互に関連しており、エネルギーの輸送も含めたネットワークの構築と、全体のスマート化が必須になります。エネルギーマネジメントの専門家には特に本センターとの連携を深めて頂ければ幸いです。

本センターでは概ね年に2回の頻度で公開の研究会を開催しています。現在のセンターの中核技術に関わらず、広くエネルギー技術全般を対象とした研究会を企画しています。研究会には県外からも多数の専門家に参加頂いています。研究会での議論により、エネルギーに関わる融合技術開発が加速することを目指しているのはもちろんですが、県内外さらには海外の関係者の人的ネットワーク構築の場となることを願ってやみません。研究会にも御出席頂ければ幸いです。

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