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  • リレーコラム

脱炭素社会の実現へ新たな技術を生み出す新潟県内の研究者らが、自身の研究や脱炭素への思いなどを自由につづります。

県内の理工系5大学・短大・高専と、本県と関わりのある企業のリレーコラムです。(毎週木曜日夕に配信=第5週がある場合は休み)

リレーコラムVOL.30

ENEOS Xplora 中条事業所 中条共創の森オープンイノベーションラボ(NOiL) マネージャー
小久保 晋一こくぼ しんいち

新潟大学大学院 自然科学研究科を修了。2009年に新日本石油開発株式会社[現ENEOS Xplora(株)]に入社。10年以上にわたり、UAEのアブダビへの赴任をはじめとして、国外の石油・天然ガス開発プロジェクトに地質技術者として従事。その後、デジタル推進部を経て、2022年10月から現職。

石油・天然ガス開発会社によるゼロエミッション拠点とは?

『ゼロエミッション』とは、1994年に国連大学によって提唱されたもので、人間活動から発生する排出物(温室効果ガス、廃棄物、汚染物質等)を限りなくゼロにすることを目指した理念です。温室効果ガスだけでなく、廃棄物や汚染物質等も対象となっていることが特徴です。今回は、当社のNOiL事務所での「ゼロエミッション拠点化」の取り組み、ZEB化、サーキュラーエコノミー、再エネ由来の電気自動車(営業車)について紹介します。

ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」)とは、快適な室内環境を実現しながら消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物です。建築分野による温室効果ガスの排出は、全体の約35%を占める一方、ZEB普及率は、非住宅建築物のうち、約2%にとどまっています。省エネを徹底し、同分野からの削減排出を推進するため、ZEBの普及が課題となっています。その対策として、国や地方自治体は、各種補助金や参考となる事例の紹介など、ZEBに関する情報発信に努め、様々な施策を拡充し、ZEBの普及を推進しています。

出典:ZEB普及状況や公共建築物のZEB化の課題

NOiL事務所では、省エネ設備を導入し、LED照明等の利用により、ZEBを実現させ、認証を取得しました。従来比73%減の省エネを実現しながらも、コミュニケーションが取りやすくなるよう、工夫を凝らした空間は、快適で、時には足湯に使ってアイデア出しなど、実証パートナー・見学者からも好評です。

また建屋には、廃棄PETをリサイクルした素材が一部利用されている、高耐久アスファルトや廃プラスチックから再生した使用後もリサイクル可能な素材を使用しています。

さらに、NOiL事務所の社有車である、電気自動車は、事務所に設置された太陽光発電による自家発電電力を利用しています*。走行時のCO2排出量がゼロのゼロカーボン・ドライブを実現しています。

電気自動車充電時の太陽光発電パネルの表示
電気自動車への電力充電の様子

上記で紹介のとおり、建物のZEB化、社有車をガソリン車から電気自動車に変更し、必要とされる電力を自家発電の太陽光発電からの電気で自動車を走らせること*、また循環できる素材を建築素材として利用するなどの取り組みを通じて、ゼロエミッション拠点化を目指しています。(*発電量が不足する場合は外部から電力を購入する時もあります)。

ZEBや再エネを活用した電気自動車の普及はまだまだこれからです。私たちと一緒にゼロエミッション拠点化を目指しませんか?仲間を募集中です!

ENEOS Xplora 公式マスコットキャラクター 『ENOX(エノックス)』

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