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リレーコラムVOL.35

三菱ガス化学株式会社 新潟工場 SX推進室長
松田 秀穂まつだ ひでほ

1973年、神奈川県出身。2000年に三菱ガス化学入社。新潟研究所、新潟工場、水島工場にて触媒・有機化学品・プロセス開発業務や、企画開発業務に従事。2025年4月より現職に就き、新潟工場のカーボンニュートラル・DX・教育業務に従事。

  • SX:Sustainability & Smart Transformationの略

化学から、身近な低炭素化を増やしていきますよ!

4月24日の当リレーコラムにて、当社のCO2由来の環境循環型メタノールについて紹介致しました。私たちの新潟工場では、その環境循環型メタノールを使った誘導品や、製造時に炭素排出量の少ない水素、CCS(CO2の回収・貯留)などにも取り組んでおりますので、今回のコラムで御紹介します。

三菱ガス化学は1952年に新潟の地でメタノール事業を開始し、新潟工場においてメタノールを原料に使用した製品群を製造しています。当社のメタノールを起点とした主な製品群は以下のフローとなっており、原料のメタノールを低炭素化することで、多様な川下製品群が低炭素化に直結します。過去のリレーコラムでも御紹介のように、当社では技術開発と実装に向けて積極的に取り組んでいます。…しかし化学品メーカーの悲しいところですが、皆さんが手にするおなじみの商品に当社が製造する原料製品名は書かれていないため、皆さんが当社の低炭素化の取り組みに今一つ親近感を持ちにくいかと思います。

出展:2024年度当社統合報告書(54ページ記載)

そんな中、2025年4月にパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社様と共同で、コンセントなどの配線器具をターゲットに、CO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型ユリア樹脂を開発致しました。化学品原料の起点を低炭素化することで、その先の製品が瞬く間に低炭素化されていく好例と言えます。日常の身近な製品が低炭素化された原料から作られ、実際に手に取っていただくことで実感しやすいかと思います。いつの間にかカーボンニュートラルに貢献していただける、そんな世界も遠くないのかなと夢想しています。

出展:2025年4月10日 当社ニュースリリース
「パナソニックと三菱ガス化学、CO2から製造したメタノールを原料とする環境配慮型ユリア樹脂を開発 CO2排出量を従来比で20~30%削減」

さらには、環境循環型メタノールを活用した水素やrDME (renewable DME) などの新たな展開も検討しています。

出展:2025年3月19日
当社カーボンニュートラル戦略説明会(22ページ記載)

メタノール改質法による水素製造は、当社で40年以上にわたり展開しているものです。メタノールは、他の水素キャリアに比べてエネルギーをかけずに水素を取り出すことができます。今回、欧米企業との新たな協業により、身近に水素エネルギーを利用できるよう、取り組みを進めています。水素燃料電池と組み合わせて電気を作ることが一例に挙げられます。

ジメチルエーテル (DME) は、メタノールを原料に合成される化学品であり、当社は新潟工場に国内唯一の製造プラントを保有しています。環境循環型メタノールを原料としたrDMEをLPガスに混合することで、LPガスの低炭素化に貢献できると考えております。今年4月にはグリーンLPガス推進官民検討会の中に設置された、rDME混合LPガス実用化ワーキンググループがキックオフしました。2030年の本格導入に向けて、今後社産官学一体となって社会実装の検討を進めて行く予定です。

また、現在、東新潟油ガス田でのCCS、およびブルー水素製造の検討を進めております。当社新潟工場にて排出されるCO2を貯留することで製品の低炭素化を目指すとともに、天然ガスから水素を製造する際に発生するCO2を地下貯留した低炭素水素(ブルー水素)を新潟工場で活用することを検討しています。

さらに新潟工場には水素ステーションを設置しており、再生可能エネルギーの電力を使って水を電気分解して得る水素(グリーン水素)を作っています。ここではグリーン水素を使ったフォークリフト7台と水素燃料電池車2台が稼働しています。水素利用のすそ野を広げ、当社が目標として掲げる2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みとして、水素価値の浸透と実証を図っています。

出展:2022年11月18日
当社ニュースリリース「水素ステーションおよび燃料電池フォークリフトの運用を開始」

ほかにも、隣接する新潟研究所と連携した基礎研究から、工場内での実地検証まで、将来を見据えた多様で特色ある検討を行っています。

カーボンニュートラルは原料転換だけでなく、省エネやDX(デジタルトランスフォーメーション)活用による製造効率化、物流や全体活動のスマート化により、何とか目標値に近づいていくものです。この新潟の地で、様々なトライアルを積み重ねるべく、是非地域の皆さんと対話・協力して、新潟から始まる循環の輪をつくり、身近に感じられる事例を増やしていきたいと思います。当社の取り組みが県民の皆さんの目に留まる機会がどんどん増えていくように、検討を加速していきます。

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