- 紙面シリーズ
お出かけ方法を変える。脱炭素にもつながる?
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス。中でも、通勤や通学、買い物、旅行などの「移動」に伴う排出量が、2023年版環境白書によると消費ベースで11%を占める。こうした状況の中、日常生活でマイカーを中心とする移動手段を見直し、CO2排出量を削減しようとする取り組みが「スマートムーブ」だ。CO2を減らすだけでなく、歩くなど体を動かすことで健康にもつながる。県民みんなで「スマートムーブ」に取り組んでみよう。
自動車のCO2排出量多い新潟県
県内では、日常生活に自動車は欠かせない乗り物だ。「データでみる新潟県(23年度)によると、人口千人あたりの自動車保有台数は、新潟県は852台と、全国平均659台より多い。また、県内のマイカー通勤通学比率は、20年国勢調査によると、新潟県74.2%で、全国平均46.9%より約27ポイントも高い。
県によると、本県は全国と比べて自動車由来のCO2排出量が多く、移動手段を見直すことで、CO2排出量の削減につなげられるという。
そこで、毎日の通勤や通学、買い物、ちょっとした外出などを、バスや電車などの公共交通機関や、自転車、徒歩など環境に優しい方法に転換する「スマートムーブ」を実践してみよう。
日頃から積極的に歩くことに取り組んでいる新潟県ウオーキング協会理事で、上越市の会社員、田中秀和さん(67)は「歩くことで、健康につながり、環境にも貢献している意識が持てる」と、歩く効用を紹介。近隣のスーパーなどは、歩いて訪れるようにしている田中さん。環境意識を持つことで、マイカーを運転する際もCO2排出を抑える急発進、急加速などを控えたエコドライブを心掛けるようになったという。
県によると、自家用車を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などのエコカーに買い換えることでも、ガソリン車に比べ走行中のCO2排出を抑えられる。また、タイヤの空気圧をチェックして適正値に改善するだけでも、燃費が向上し、安全に走行できる。
カーシェア県内で拡大中
また、会員間で自動車を共同使用するカーシェアリング(カーシェア)サービスが、県内でも増えているという。17年から県内でカーシェアサービス「タイムズカー」を展開するタイムズモビリティは「車の所有からカーシェアに転換することで、社会全体のCO2排出量の削減につながる」と説明する。カーシェアは、利用者が必要な時だけ自動車を使うため、過度な使用を抑えることにつながる。カーシェアの他にも、通勤や観光などに利用する電動アシスト式を含む自転車の貸し出しサービスが提供されている地域もある。
公共交通機関や環境に優しい交通サービスの提供は、県内地域ごとに差はある。田中さんは「無理せずにできることから始めるのが大切。自分が楽しまないと長続きしない」。スマートムーブに取り組むこつだ。