- 紙面シリーズ
Let’s 買いすぎない! つくりすぎない! のこさない!
「食品ロス(フードロス)」という言葉をご存じだろうか。まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことだ。食品ロスは「もったいない」というだけでなく、食品廃棄物の焼却処分や埋め立て処分で、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが発生する。消費ベースでみた国内の温室効果ガス排出量は、約6割が家計消費であり、そのうち「食」で11%(2023年版環境白書)を占めるため、地元産の旬の食材を選んだり、残さず食べきるよう努めることが地球環境の改善につながっていく。
国内の食品ロスは、2022年度に472万トン(農林水産省・環境省調べ)発生し、そのうち規格外品や返品、食べ残しなど事業者から廃棄される事業系が236万トン、家庭からの家庭系が236万トンだった。政府は30年度までに2000年度比で半減を目指している。
ハネモノでお菓子も製造
食品ロス削減には、事業者と家庭がそれぞれで意識を持って取り組むことが大切だ。県内の事業者では、ジャムやお菓子などを製造・販売する「旬果甘味店ルコト」(新潟市東区)が、規格外品(ハネモノ)を積極的に取り扱う。代表の佐藤千裕さん(48)は「傷んだ果物などの処分に困っていた、新潟の農家さんの相談を受け、ハネモノを使った商品を考案した」と話す。
2010年ごろから活動を始め、「Mottainai(もったいない)をよろこびに」をモットーに、農家から仕入れたハネモノを一次加工する福祉事業所の力を借りて商品に仕上げ、約30種類の商品をそろえる。佐藤さんは「商品を通じて、消費者の方々に食品ロス削減の意識を訴えていきたい」と強調する。
「ハピタベ」で楽しく削減
食品スーパー「ウオロク」(新潟市中央区)では、県内8店舗(1店舗休業中)で、食品ロス削減につなげる活動「ハピタベ」に取り組んでいる。消費・賞味期限が近い生鮮・総菜などの商品に「ハピタベシール」を貼り、10枚集めるとお菓子や日用品が当たるカプセル玩具販売機「ガチャガチャ」を回せたり、店内に張られた専用ポスターにシールを貼って1枚1円相当の寄付ができたりする。同社は「地域の皆さまに食品ロス削減に関心を持ってもらう機会にしてほしい」としている。
また、他の県内事業者では手前の商品を積極的に選ぶ「てまえどり」や食べきれなかった料理の持ち帰りなど、さまざまな取り組みを呼びかけている。家庭では、食べきれない量まで買いすぎないことが、食品ロス削減につながるほか、新鮮でおいしい地元の旬の食材を選ぶことで、輸送時のCO2排出削減につながる。
旬果甘味店ルコト代表の佐藤さんは「生きる上での根本の『食』をきっかけに、環境問題やエコ活動などに興味を持ってほしい」と訴える。