- 紙面シリーズ
3月9日、新潟市中央区の新潟日報メディアシップで「にいがた脱炭素応援団ミーティング」が行われました。まず環境省関東地方環境事務所の鈴木友也さんが、脱炭素の経営支援に関する政策動向と補助金事業を紹介。続けて応援団に加盟する県内企業8社が自社の活動を発表し、多種多様な分野で脱炭素に取り組んでいることを共有しました。
基調講演
脱炭素支援で地域課題の解決を鈴木 友也さん(環境省関東地方環境事務所 地域脱炭素創生室で脱炭素による地域づくりを推進)
関東地方環境事務所地域脱炭素創生室では、地域脱炭素と地域課題解決の同時実現を目指し、自治体・企業等の脱炭素化を支援しています。人材・財源不足等の中小企業の課題に対し、地域やバリューチェーン全体での体制構築支援や省エネ・再エネ設備への導入補助を行うとともに、軽量で曲げられるペロブスカイト太陽電池の実装支援等により、地域と共生した再エネ導入を進めています。脱炭素推進に向けさまざまな事業・補助制度がありますので、HP「エネ特ポータル」等でご確認ください。

事例発表
CO2を排出しないEV事業を推進宇都宮 誠さん(愛宕商事)
学校や福祉施設に物品やサービスを提供する中、モビリティ部門ではEV商用車やEV小型車両を販売、脱炭素に取り組んでいます。外資系やスタートアップ企業と組んで、EVのバスやトラック、バン、三輪自動車トゥクトゥクを扱い、観光やラストワンマイルの配送などにアピールしていく予定です。もう一つは、大学生向けのカーシェアリング。既にいくつかの大学と提携し、電動キックボードのシェアリングサービスも自治体と連携して行っています。

J-クレジットで生産者との関係を深めて平野 達郎さん(神山物産)
農家が削減した温室効果ガスを企業に販売しています。流れとしては、水田の中干し期間を延長することでメタンの生成量を削減できますが、これをクレジット化し、県内の主要企業のほか県外の大手企業、国内外の売買を仲介する業者に売却。生産者は副収入が得られ、私たちとしては販売している肥料や農薬資材の販売やコメの買取情報などを提供できます。生産者と企業の間に入ることでスムーズな取引を促すだけでなく、ウィンウィンの関係を築いています。

既存の技術を活用して脱炭素へ小澤 文生さん(石油資源開発)
工場等から排出されるガスからCO2だけを分離回収し、地下深くの安定した地層に貯留する技術「CCS」の事業化に取り組んでいます。貯留には地層の選定が重要で、CO2が浸透しやすい砂粒で構成された「貯留層」の上に、CO2が逃げるすきまのない泥等で構成された「遮蔽層」が必要です。当社が開発している石油天然ガスも同様の層に眠っていることから、既存の技術を活用することも可能です。新潟では国が支援するプロジェクトとして、当社含む4つの事業者で事業化への検討を進めています。

「緑の募金」はだれでもできる脱炭素活動内山 茂さん(にいがた緑の百年物語緑化推進委員会)
当委員会は2001年に活動を始めました。「緑の募金」を主な財源に、県内各地での森林整備や森林環境教育などに活用しています。これまでに植栽した樹木は298,095本にのぼり、18,631人が生涯の呼吸で排出するCO2量を吸収・蓄積しています。緑の募金は春と秋の年2回実施し、家庭や企業などに協力を呼びかけています。植栽は心に優しさをもたらし、環境負荷を軽減する取り組みです。緑の募金を通じ、より多くの人が脱炭素社会づくりに参加することを願っています。

中小企業の脱炭素化を支援、社会貢献へ長谷川 礼さん(長谷川電気工業所)
「脱炭素推進協会」を運営し、中小企業の脱炭素化を技術で支援しています。具体的には会員企業の太陽光発電によるCO2削減量をまとめ、J-クレジットの創出から売却までを代行し、その収益を還元しています。会員になると、入会手続きのみで簡単にクレジット化できる上、CO2削減量の可視化により社内の環境意識向上を図ることができます。さらにJ-クレジットの一部を「NIIGATA光のページェント」に寄付し、カーボンオフセットするなど、社会貢献にもつなげています。

バイオマス燃料でCO2排出量を大きく削減西村 元さん(北越コーポレーション)
紙の製造過程で副産物として発生する黒液(こくえき)を活用して蒸気と電気をつくり、再利用しています。黒液はカーボンニュートラルなバイオマス燃料であり、副産物からエネルギーを生み出すことで原料の木材チップを無駄なく最大限活用しています。このほか、使用燃料のガス化や木質バイオマスボイラー、太陽光発電システムの導入、環境負荷の小さい輸送手段への転換などの様々な取り組みを進め、過去20年でCO2排出量を4割削減しました。

ガスシステムで多角的に取り組む脱炭素奥山 傑さん(北陸ガス)
ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させ発電、同時にお湯も作る家庭用燃料電池「エネファーム」導入を推進しています。系統電力に比べエネルギーロスが少ないのが特徴です。また省エネと創エネで消費エネルギーゼロを目指す建物「ガスZEB」、企業や自治体の屋根や敷地に太陽光発電設備を設置し発電された電力を当該施設が買い取る太陽光PPA、都市ガスの温室効果ガスをオフセットするメニューなど多角的に取り組んでいます。

化学のチカラでカーボンニュートラルを実現内藤 晴香さん(三菱ガス化学)
工場では水電解式の水素ステーションを導入し、水素燃料電池フォークリフトなどで水素エネルギーの利活用を積極的に進めています。併せてCO2や廃棄物を再資源化する「環境循環型メタノール“Carbopath”」も推進中です。廃棄物やバイオマスなどからメタノールを生成・再利用することで炭素を循環させ、カーボンニュートラルの実現を目指します。一例として、大気中のCO2や下水由来の消化ガスをメタノールに変換・活用する取り組みを実施しています。

交流会
事例発表終了後、会場を移して交流会が行われました。和気あいあいとした雰囲気の中、担当者同士が直接、意見を交わし、それぞれの取り組みを見直す機会になりました。

